どんな日も、どんな時代も、そばにある。

三条別院|浄土真宗 真宗大谷派
三条別院|浄土真宗 真宗大谷派

三条別院に想う
MEMORIES OF THE BETSUIN

2021年7月19日

三条別院に想う

長岡は今(第13組 願性寺 井上 知法 氏)

▼前号では新潟市の中心部についての記事でしたので、今回は長岡市願性寺の井上知法氏にお聞きしました。


「長岡は今」というお題を頂いたので、長岡市のコロナウィルス感染状況を調べてみる。

2021年6月14日現在。去年3月からの15ヵ月間で人口約26万人の長岡市に於ける感染例は345例、またここ数日感染例はなし、また本日市独自の「緊急警戒情報」が解除され、臨時休館している公共施設を再開するとの事。

……この数字や政策の捉え方には各々差異があるでしょうが、少なくともこの15ヵ月間、私の周囲に感染により身体的なダメージを負う者はいませんでした。また生活に変化があったかどうかと言えば当然人並みに影響はあるのですが、今流行しているウィルスが「子どもに身体的なダメージを与える可能性が著しく低い」という現状は、幼少期の子をもつ親からすれば、“有り難い”ほどセーフティなウィルスだという認識で、その認識を支えに毎日子どもを外に送りだす平常の生活が保たれています。が、この「子どもは大丈夫」という認識が崩れたらと、他のウィルスならそんなことも“有り得る”と想像するとゾッとします。しかし平常の生活が保てない方々がゾッとするような毎日を過していることも承知してはいます。

当初からですが、このウィルスに対する認識の違いが人々の行動を左右し、分断を生んでいます。身体の心配だけではすまない、人間関係にも影響を及ぼすというのは、今更言わずもがなですが、コロナウィルス収束の暁まで続くかと思うと辟易します。

私がコロナ禍をどう過すことが正解なのかなど知る術もなく、ただ実感の伴わない様々な情報にオロオロして、周りの感情や行動に擬態しているだけで、そのような人間もどうかとは思いますが、過し方が定まった方々も生き辛そうです。

ウィルスの蔓延により、「死」を身近なものに感じるようになった者にとってコロナ禍は悲劇でしょうが、「風邪の流行」程度と捉える者にはコロナ禍の混乱は喜劇として映るでしょう。様々な自粛・行動制限、感染対策も悲劇の世界では至極真っ当な行為だとしても、喜劇の世界でのそれらは大衆の愚かさを露呈する行為にしか映らないのかもしれません。

私自身、このコロナ禍で「万が一、○○」とか「○○かもしれない」といった“可能性”という印籠にはグーの音も出せず、また「感染症?知らねえよ、俺聖人君子じゃねえし、俺は俺だ」と言われれば、絶句して過してきました。

確かに選択肢が個人個人に委ねられている限り、「自由に行動する権利」も「安心して生活する権利」もある訳で、ナイーブな事をいえば「やった者勝ち」でもなく「嫌がった者勝ち」でもない共生はできないものかと思います。

互いの見えている世界に理解できないほどの隔たりがある。が、それでも出会ったらどのようなかたちで共生できるのか、共感も同意もできない他者だと気付いたら、それでも私たちはつながれるのか。

新型コロナウィルスの感染拡大が明確にした、収束することのない課題です。

昔、出会ったことば「私たちは徹頭徹尾自我を生き、同時に徹頭徹尾他者と共に在る。」

逃れようのない事実を表したこのことばに改めてうなずき、その困難を実感する今を過しています。

全然「長岡の今」でないですね、すいません。どうか皆さまご自愛のほど。

井上知法 氏(第13組願性寺)


 

○次回の「三条別院に想う」は、

松本 雅裕 氏(佐渡組善宗寺住職)より

ご執筆いただきます

【次回は特別編⑯佐渡は今】

人口5万人の佐渡はかつては銀山・金山で栄え、繁華街が点在していて、当然、新型ウイルスの影響を免れ得ません。次回は、佐渡の現状についてお聞きします。

 

2021年6月4日

ブログ 三条別院に想う

新潟県第一号感染者の葬儀を執行して
(『親鸞NOW』31号掲載 第21組 超願寺住職 富沢慶栄 氏)

こちらの記事は、新潟親鸞学会(令和3年2月1日)発行、『親鸞NOW』31号に掲載の、富沢慶栄氏(第21組超願寺住職)の記事を抜粋したものです。これまで別院だよりの「別院に想う」では、新型ウイルス特別編を昨年の4月から、実際にそこに暮らす人々の言葉を聞いて、何が起こっているのか判断する一つの資料になればと継続してまいりました。今回別院だより6月号の「別院に想う」にて、超願寺当院の富沢栄昌氏に執筆いただいた折に、『親鸞NOW』の該当記事について触れられており、別院としても是非広く周知したいとお話したところ快諾いただきましたので、抜粋させていただきました。


12月6日午前8時15分(仮称以下)A氏の母親が息をひきとった。享年96才だった。新潟県における新型コロナウイルス感染者の葬儀としては最初のケースなので、参考までにその経過を報告したい。
総じて言えば、今回の葬儀は予想に反し、感染者の葬儀とは思えぬほど、通常のそれとほとんど変わらぬ内容だった。というのも故人が生前に帰敬式を受けていたことによる。

11月16日ケアポート砂山で、70~90代の男女29人と施設の30代女性職員1名のクラスターが発生した。今春から入所のA氏の母親も感染した。
寺への一報は11月18日。「39度台の熱があり、かかりつけの病院に入院している」と、週に一度は寺の晨朝に参拝されるA氏から電話があった。その後、微熱に下がったと聞いて安心していたところ、11月28日の晨朝で、「医師から『高齢でECMO(エクモ)等の処置は身体がもたない』と言われ、自分としても、これ以上母を苦しませたくないので、『延命治療は不要』と伝えました。数日後には葬儀をお願いすることになります」と予告された。
これまで拙寺では2回、「あわや感染葬儀か!」というケースがあったが、PCR検査の結果陰性で免れた。今度はそうはいかない。今春、寺内で感染者の葬儀について検討はしてみたものの、結論はケースバイケースとなった。

訃報は12月6日(日)昼前。「遺体が2時過ぎには式場へくるので、枕経をお願いします」とのことだった。
のちにA氏から聞いた話では、「6日朝、病院からの呼び出しを受けて駆けつけた。病院ではガラス越しに母親と対面。遺体は看護師によって消毒のうえ納体袋に収められる。それを防護服を着た葬儀社員が迎えに来て搬送し、式場内の安置室へ仮安置した」とのこと。「最期、死顔にも会えず、火葬にも立ちあえず、お骨だけを渡された」故志村けん氏の非人道的ケースを踏まえた病院や葬儀社側の親身な配慮がうかがえる。
午後2時半に寺から役僧が枕経に伺う。安置室には喪主夫妻と担当職員だけで、故人は納体袋のままお棺に納められており、その前で枕経を執行する。その後、葬儀の日程を、7日午後8時から通夜、8日午前10時開式11時終了と打ち合わせる。そのおり喪主から亡母が20年前に帰敬式で受けた法名紙を手渡される。

「よかった!!」

感染者の葬儀について検討したとき、断念せざるを得ないと思われた所作のひとつが、おカミソリ(帰敬式)だった。さっそく私は入棺文と位牌を書き上げた。しかし、入棺文は果たして棺の中に納められるのか?棺が密封してあれば不可能だ。どこかで入れるチャンスはあるか?
なぜ入棺文(棺書)にこだわるか、それは破地獄文といわれ、故人が地獄に堕ちることの無いように、故人に持たせる言わば浄土行のパスポートだからだ。

さて、翌7日午前8時、寺のお朝事に喪主A氏が参拝に来られ、その後葬儀全般について打ち合わせる。
A氏は、「感染防止のため、お骨にしたうえで葬儀を営みたい」という。そして「青山斎場(火葬場)では本日の営業終了後、5時半から特別に火葬するとのことなので、出棺前に式場で、私達はお棺に花入れするつもりです。そのとき帰敬式で戴いた肩衣・勤行本・数珠なども入れてあげたいが、如何でしょうか?」と。
「とてもいい心がけですね!そのとき、この入棺文も枕辺に差し入れてください」案ずるより産むが易しとはこのことか。入棺文の件は杞憂におわった。
「それからお棺の蓋をしたあと、お棺全体をこの棺掛七條で覆って、そのまま火葬にして下さい」と伝えた。敬虔なA氏の、その母親の葬儀なので、寺としても特別対応をすることとした。

できれば火葬場の炉前で最期を見届け、収骨もしたかったに違いないが、主人・妻・娘ら家族たちは会社・保育園・病院と、夫々の職場の厳しい感染対策に遠慮し、一人として火葬場へ行くことはできなかった。代わって葬儀社社員が出かけ収骨もして、午後7時過ぎに遺骨が式場へ到着する。

通夜で午後7時40分、役僧と式場へ行く。入口で手指の消毒と体温チェックを受け控室へ。8時通夜開式、参列者は喪主ほか4名。喪主も正信偈を詠めるので草四句目下で勤める。
法話は、あらかじめコピーしてきた『末燈鈔』第六通目のプリントを全員に配布。話しの冒頭、春彼岸に寺内全員にマイ体温計を配り、以来、朝晩検温して記録に残し体調管理に勤めていること。ここへ来る前にも検温したので、マスクを外して読経・法話をさせてもらう旨了解をもとめ、話し始める。
今回法話の要点は二つ。第一には死の縁無量。
「みなさんはお母さんがコロナで亡くなったと思っておられるでしょう。けれども親鸞さまは『生死無常のことわり、くわしく如来のときおかせおわしましてそうろううえは、おどろきおぼしめすべからずそうろう』と申されている。生の種(原因)をまけば、死という結果は必然すると、お釈迦さまが詳しく説いておられるように、ウイルスは縁(複合的条件の一つ)であって原因ではない、と言われるのです」(略)
第二の要点は、「『愚痴無智のひともおわりもめでたく候え』と親鸞さまは臨終にあたって『めでたい』と申されている」(途中略)「お母様の門出にあたり、私も『極楽往生おめでとうございました』とお祝い申し上げたい」と結んだ。
身内だけの通夜で喪主の挨拶もない。通夜ふる舞いの代わりに弁当をいただいて帰寺した。
通常ならば、式場の葬儀壇前に棺がある代わりに壇上の遺影前に骨箱がある外は、なんの違いもない。
そのまま、翌日の葬儀式の式次第も、礼参も、全く通常のかたちで執行することができた。
ただ、念のため貸し出した御本尊は消毒し、葬儀に関わった私どもは、一層体調管理に努め、二週間は不要不急の外出を自粛している。
(12月20日 記)

2021年6月4日

三条別院に想う

西堀は今(第21組 超願寺 富沢 栄昌 氏)

▼新潟県の新型ウイルス患者も4月に入り過去最高人数を更新する一方で、高齢者を中心にしてワクチンの接種も始まりました。この記事で三条市本寺小路周辺の様子等は報告してきましたが、県内で最も人口が多い新潟市中心の現状について、超願寺副住職の富沢栄昌氏にお聞きしました。


年明け早々の礼参。「コロナが憎いです」と、母親を亡くされた喪主がボソッと呟かれたのが印象に残りました。県外在住で、病院の面会制限もあり、思うように看取ることが出来ないままになってしまったとの悔恨。会いたくても会えず、想いを伝えられないお別れ。昨年来、そういった不本意な声を耳にする機会が増えました。いわゆる「家族葬」がお葬儀の大前提のようになり、身内でも県外在住者との接し方に苦慮する空気の中、そもそも本質的にままならない生老病死にどのように向き合えば良いのか模索しています。

今回、西堀のお寺の様子を中心にということで執筆を依頼されましたが、新型コロナウイルスへの対応はお寺によって様々です。自坊では、消毒液や非接触式検知器の設置、行事の際のアクリル板の使用、お斎の代わりにお弁当をお持ち帰りいただくなど、できる範囲での感染症対策に努めています。昨年、県第1号の感染者のお葬儀の際には、さすがに院内に緊張が走りましたが、どうにか無事に勤まりました(新潟親鸞学会「親鸞NOW」31号参照 → 当ホームページ別記事にて抜粋させていただいております)。ご門徒さんのご理解を得られれば、ある程度、ご法事や行事は可能だと考えてます。

しかし、組としての活動となると、周知の範囲や当日の参加者数が読めず、リスクやコストを考慮した結果、2年続けて中止という苦渋の決断が続いています。他宗の方との交流の場になってきた寺町の花まつりも中止。こうした状況がいつまで続くのか、収束後に再開できるのか気がかりです。

一方で、御門首継承式のライブ配信など、これまでになかった形での教化活動が実現し始めています。ご門徒さんから、本山の報恩講を初めて見たという反応をいただき、いつか上山されるご縁になればと願っています。3月の墓地管理に関する学習会では、講師の先生は真宗会館からオンライン参加。スタッフの皆様のご尽力のおかげで、貴重なお話を拝聴しました。昨今、教区の改編が取り沙汰されてますが、教区の境を越えた学習の機会を今後も設けていただけるとありがたいです。

富沢 栄昌 氏(第21組 超願寺 副住職)


▲はじめは古町の様子をお聞きしようとしたのですが、新型ウイルス感染症患者の葬儀を勤められたというお話を聞き、法務に携わる身として気軽に町に出られない、より緊迫した状況が伝わってきました。以下事務局の雑感を連ねます。

※『親鸞NOW』は新潟親鸞学会機関紙のため、該当箇所を別記事で公開させていただいております。

▲新型ウイルス感染症葬儀で亡くなった新潟県内の方は5月31日現在で35名。県内ではじめに亡くなった方が超願寺様で葬儀をされ、また県外在住で家族を亡くされた方もいるということで、遺族の方々の悔しさは、計り知れないものがあることと存じます。今後、県内でも感染症で亡くなった方の葬儀を勤めることが増えてくることも十分あり得るように思います。

▲「葬式仏教」と揶揄される場合もありますが、このような緊急事態に、遺族と共に法事を勤めることの大切さがあらためて感じられます。また、法事の形の変化についても、大きな課題です。法要等が中止になる一方、本山・教区でのライブ配信・オンライン講義等も積極的に活用いただいているようです。

▲また、周辺の古町は県内一の歓楽街で、新型ウイルスの影響で、新潟市は飲食店の営業時間の短縮要請が4月21日から5月9日まで行われ、5時から21時までの営業時間の短縮と、酒類の提供は20時までに限られました。一定の効果があったということで、9日に県独自の新潟市への「特別警報」も同時に解除されました。しかし、周辺寺院の御住職等からも、御門徒に接する機会が多いため、以前の様に気軽に外で飲食できないが実際のところであるということも聞いています。

▲一方、長岡市の新型ウイルス患者の増加に伴い5月17日から5月31日まで時短要請が行われました。県内上場企業の決算の分析によると食品スーパーは売上高、各利益が過去最高、ホームセンター等も「巣ごもり需要」に加え記録的な大雪の影響もあり、需要が伸びて利益が高かったと「新潟日報」の記事にありました。一方で、飲食店については、継続的に被害を受け続けています。

▲新型ウイルスの影響の公的な統計データについては、総務省統計局の5年ごとの経済活動調査が本年6月に行われるということで、次第に明らかになるようです。

▲新型ウイルスの影響で混乱する中、昨年は『ファクトフルネス』がベストセラーになり、「思い込みを乗り超えデータを基に世界を正しく見る習慣の大切さ」が注目されてきましたが、刻々と状況が変わり、変化の度合いが著しい中、統計を待っていられないこともまた事実です。仮説と独断の差異を見極めることも難しく、勇気をもって足を踏み出すことと、無鉄砲の違いも見極めが困難です。

▲新型ウイルス特別編を昨年の4月から継続してきましたが、実際にそこに暮らす人々の言葉を聞いて、何が起こっているのか判断する一つの資料となればと思っています。


○次回の「三条別院に想う」は、

井上知法氏(第13組願性寺)より

ご執筆いただきます

 

【次回は特別編⑮長岡は今】

長岡市は本年のゴールデンウィーク明けに感染者数が過去最多を記録し、感染経路の分からない患者も増えてきたために、5月31日まで飲食店への時短要請が行われ、一定の効果があったために解除がされる予定です(5月31日現在)。今月号では新潟市の御寺院の様子をお聞きしましたので、次回は長岡市の様子をお聞きします。

2021年5月9日

三条別院に想う

感染症流行下の地域おこしについて
(株式会社Founding Base 池田和也氏)

2020年に三条中央商店街にSANJO BLANC(サンジョーブラン)という喫茶店ができました。三条市から委託された地域おこし協力隊のお店で、コミュニティスペースとしてイベントやワークショップも開催しています。新型ウイルス感染症流行下で様々な業種の方と対話をされているコミュニティー・コーディネーターの池田和也氏(株式会社Founding Base)にお聞きします。

BLANCのコンセプトは「言葉とアートを愉しむCAFE」

株式会社Founding Baseについて
地方自治体と連携し、地方経済の活性化に取り組んでいます。 三条市では、「移住定住者の促進」をテーマに、ツアーコンテンツの開発や空き家の魅力化、 地域コミュニティ造成のためのコミュニティカフェ「SANJO BLANC」の運営などを行っています。

コロナ禍における地域での暮らし
我々が三条市での活動を始めたのは、2019年の11月。ちょうど新型コロナウィルスの存在が世界的に明らかになった頃になります。 御存知の通り、人々の生活スタイルが一変し、外出自粛や家で過ごす時間が増え、移住したての我々もストレスを感じることも多かったことを覚えています。 特に、本寺小路の飲食店や、三条市内の商工業者の方々にとっては、類を見ないほどの過酷な時期だったのではないでしょうか。 生活スタイルの変化に順応していく中で、自分たちに出来ることが何なのかを考えていく中、新しい活動に取り組み始めました。

自分たちがupdateするスタンス
まちのことをまだあまり分かっていない中ではありましたが、今必要とされていることは何なのか、自分たちだったら出来ることは何かを常々考えていました。 幸い、新しい生活環境にもすぐに適応しているメンバーも多く、自分たちにはできても、地域の人にとってはそうでないことを模索した結果、 飲食店支援のために始めた、「三条エール飯」(※)と、三条出身の学生支援のために始めた「三条縁むすび」をスタートさせました。 今ではテイクアウトや、学生支援も定着し、地域の生活の一部となってきて本当に嬉しく思っています。 日々変化する環境の中でも、自分たちがどうその状況を愉しみながら、自分たちだけで完結せず、 地域を巻き込みながら新しいことにチャレンジできるかをこれからも大事にしたいと思います。

▼これからの話

BLANCで開催されたイベント

緊急事態宣言の再開や、東京オリンピックなど、これからも人々の移動やこれまで通りの生活が叶うようになるには、時間がかかるものだと思っています。 しかしながら、今だからこそ出来ること、感じられることもあるのではないでしょうか。 中々会えなくなったからこそ感じる人と人とのつながりや、地域で暮らすことの温かさ、など、 現状に悲観的になるのではなく、今この状況をいかに良いものに出来るかどうか、愉しみながら実践し続けていきたいと思います。


▼Q&A

Q.自治体と連携しながらということですが、三条市の「地域おこし協力隊」ということになるのでしょうか?
A.そうです。三条市は特に地域おこし協力隊は多く、約35名います。下田地区に20名、三条地区に15名います。我々はFounding Baseの社員ですが、形としては「まちなか」の活性化に従事しており、三条別院周辺も含むまちなかエリアの賑わい創出を委託されています。

Q.新型ウイルス感染症が流行する中で、もとから賑わいが減りつつあった中央商店街にカフェであるSANJO BLANCをオープンしたというのは、大変だったのではないでしょうか?
A.実は、カフェをしながら、空き店舗の問題に取り組んでいます。中央商店街をはじめとして、三条市内に空き家・空き店舗が多数存在し、それをリノベーション等、活用して町を活性化することも目的の一つです。宅建や不動産鑑定士の資格の取得にも挑戦しています。

Q.実際に住んでみて三条はどんな街でしょうか?
A.実は私は佐賀県出身で、「適度に都会」で三条はかなり住みやすいと感じています。また、お酒は好きなので本寺小路を中心に積極的に飲食しています。グーグルマップで行ったところ、これから行きたいところをチェックしています(実際にみせてもらう)

Q.これは、かなり制覇していますね。こんどぜひ一緒に本寺小路の魅力について語り合いたいですね。

(※)4月にエールマップを作製した際、別院は写真の提供と配布のお手伝いをさせていただきました。また、11月にはエール飯マップお取り越し版を作製していただきました。

池田 和也 氏
(株式会社Founding Base)


○次回の「三条別院に想う」は、

富沢栄昌氏(第21組超願寺)より

ご執筆いただきます

【次回は特別編⑭西堀は】
新潟県の新型ウイルス患者も4月に入り過去最高人数を更新する一方で、高齢者を中心にしてワクチンの接種もはじまりました。この記事で本寺小路の様子等は報告してきましたが、現在飲食店の営業時間短縮要請がでている新潟市の中心(古町等)の様子についてお聞きしたいと思います。

2021年4月28日

三条別院に想う

新型ウイルス流行下での教化について
(第10組 行通寺 佐々木恵一郎 氏)

▲本年1月に首都圏を中心に再発令された緊急事態宣言が3月21日で解除されました(原稿執筆時。4月25日より再発例)が、新潟県では警報を継続する等、諸行事をする際には依然として難しい判断が迫られています。三条別院でも従来の教化事業の代わりに、「エール飯」、「フードバンク」、「DODALO(法語カード/座談カード)」、「YouTubeチャンネル」等を行ってきました。佐々木恵一郎氏(第10組行通寺)のお寺でも法話ライブ配信のサテライト会場になったり、少人数で別院報恩講に参拝していただいたり、別院の教化事業にもこまめに反応をいただいています。新型ウイルスの収束時期が読めない今後の仏教教化について、どのように考えているのかお聞きしました。


昨年来、新型コロナウイルス感染防止のための対策が必要となり、場合によってはお寺の行事自体を取りやめたり、行うにしても縮小して行うことが当たり前になってきています。

コロナを理由に法事の数も減り、月忌参りや祥月のお参りも遠慮したいと申し出るご門徒さんが出てきました。感染防止のためにお寺の行事が制限を受けるのはやむを得ないことなのでしょう。また一方で、寺院側にも必要以上に行動を自粛することがあったとも聞いたりもしました。

そんな中です。感染症の流行と仏事の執行とについて大いに悩んでいたときに、三条別院から「DODALOカード」なるものが送られてきたではありませんか。そこには「わたしたちにとって、本当に急ぐべき事、必要な事は何ですか?」とのメッセージと齊藤研氏が書かれた檄文がありました。それは、コロナ禍において自分が感じていた行き詰まり感を打破する内容だったのです。

註1

また、三条別院列座諸君は日々の昼食を毎日のように、「三条エール飯」という形で、地元三条のテイクアウトメニューを大いに食しています。今回のコロナ禍において打撃を受けている飲食店の救済のために何かしなくては…という思いを行動に表した姿なんでしょう。

また、そのことはFacebook上で#(ハッシュタグ)三条エール飯で映像付きでのメニューの紹介レポートを全世界に発信しているのです。

註2

コロナ禍において何かしなくては…と思いながらも何もできないでいた私にとって、アグレッシブとも思える三条別院の取組は良い刺激となりました。

自分でできること、自分でもできることは何か、そんな事を模索しながら日々の法務に励んでいます。ちなみに、三条別院の取組のアグレッシブさが後押しとなり、女性研修会の会場を引き受けた事を口実にして、お寺でプロジェクターとスクリーンとを購入しました。アグレッシブには身を切る痛みが伴うということも学んだことでした。

本寺小路の料亭福海老

註3

佐々木恵一郎氏(第10組行通寺住職)


▲教区の役職として企画委員会の副委員長を勤められている佐々木氏ですが、このように別院の諸行事を最大限活用していただいています。現下の状況では、「アグレッシブ」に新しい教化を模索しなければいけない一方で、依然として先行きの見えない中で「倹約する」方法が同時に求められている気がします。そんな中、別院・教区の事業を利用し、一寺院の住職として御門徒さんと共に歩まれるこの姿勢は一つの範となるように思えます。皆さんもぜひ、積極的に三条別院をご利用ください!


○次回の「三条別院に想う」は、

池田 和也 氏
(株式会社FoundingBase)より

ご執筆いただきます

【次回は特別編⑬感染症流行下の地域おこしについて】
2020年に三条中央商店街にSANJO BLANC(サンジョーブラン)という喫茶店ができました。三条市から委託された地域おこし協力隊のお店で、コミュニティスペースとしてイベントやワークショップも開催しています。新型ウイルス感染症流行下で様々な業種の方と対話をされているので、その一端をお聞きします。

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