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三条教区・三条別院 | 浄土真宗 真宗大谷派
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三条別院に想う

感染症流行下での2年目のお取り越し(糀屋団四郎)

【特別編⑳感染症流行下での2年目のお取り越し】

▲お斎の席にて、参詣の皆さまに長く愛されてきた隠れた名品、辛味噌。沢山の要望にお応えして、おみやげ限定販売をしております。お斎で提供されるものは、別院の御勝手衆に代々伝わるものですが、販売用のものは、新飯田の糀屋団四郎さんにお願いしています(https://www.dansirou.com/)。今年はなんと計768個売れたということです。今回は辛みそ販売についてお聞きしました。


三条別院の報恩講の御斎は、辛みそが評判だった。私たち味噌屋がその辛みその製造を依頼されたのは5年ほど前だったと思う。評判の辛みそをお土産にしたいとのことだった。近くに住んでいながら、報恩講の存在を知らず、その辛みそを食べたことはなかった。まずは作り方を教わりにSさんを訪ねた。初めて食べる辛みそは、確かに美味しくて評判になるのも頷けた。とても辛いが甘みがあって、ご飯にのせても、鍋にいれても美味しくなりそうだ。その作り方は鍋に油をひいて唐辛子を炒め、味噌と……おっと、レシピや作り方についてはここまでしか書けない。なぜならこっそり教えてもらった秘伝だからだ。

1年目は、とりあえず200個と依頼をうけた。だが4日間ある報恩講なのに、初日に完売してしまった。慌てて蔵に帰って、追加の辛みそを作る。その繰り返しだった。2年目、3年目も初日は多めに作っても、飛ぶように売れてしまい、やはり慌てて追加の辛みそを作っていた。4年目の去年は、コロナで土産物販売がなかった。「あの辛みそを売ってくれませんか」と何度か味噌蔵にも電話がかかってきた。しかし、なんといっても報恩講でしか手に入れることはできない特別な辛みそだ。無念に思いながらお断りの言葉を述べるしかなかった。

私たち団四郎味噌は三条別院の御坊市をはじめ、自社の商品をもってイベント出店することがたまにある。イベントにもよるが、ファンもついていて手前味噌ながらよく売れる。だが、この報恩講の辛みそは特別だった。こんなに短期間で飛ぶように売れたことは今までに経験がなかった。一重に親鸞聖人への敬虔な気持ちから、報恩講にむかう檀家さまのおかげである。また報恩講を無事に執り行おうと務める、お寺様とスタッフさんのおかげなのである。持ち帰った辛みそを食すとき、この報恩講で過ごした時間を思い出すこともあるだろう。また、報恩講に来られなかった方へのお土産にした時、報恩講への想いも一緒に渡すのかもしれない。

報恩講でしか味わえない特別な辛みそだけれど、もしも、もう少し気軽に手に入れることができるようになったら、辛みそにのせて、報恩講の想いが広がり、ごぼうさまのお心に触れる人が増えるのかもしれない。辛みそがそんなツールになったら、これほど嬉しいことはないと、味噌屋は思うのである。

藤井 康代 氏(糀屋団四郎四代目店主)


○次回の「三条別院に想う」は、

小林光紀 氏(第12組浄照寺前住職)より

ご執筆いただきます。

三条別院の責任役員を2010年より勤められた小林光紀氏が所属寺の住職を交代され、それに伴い別院責任役員を退任されました。次回は小林氏に、現在にいたるまでの思い出などを語っていただきます。

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