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三条別院|浄土真宗 真宗大谷派
三条別院|浄土真宗 真宗大谷派

三条別院に想う

西堀は今(第21組 超願寺 富沢 栄昌 氏)

▼新潟県の新型ウイルス患者も4月に入り過去最高人数を更新する一方で、高齢者を中心にしてワクチンの接種も始まりました。この記事で三条市本寺小路周辺の様子等は報告してきましたが、県内で最も人口が多い新潟市中心の現状について、超願寺副住職の富沢栄昌氏にお聞きしました。


年明け早々の礼参。「コロナが憎いです」と、母親を亡くされた喪主がボソッと呟かれたのが印象に残りました。県外在住で、病院の面会制限もあり、思うように看取ることが出来ないままになってしまったとの悔恨。会いたくても会えず、想いを伝えられないお別れ。昨年来、そういった不本意な声を耳にする機会が増えました。いわゆる「家族葬」がお葬儀の大前提のようになり、身内でも県外在住者との接し方に苦慮する空気の中、そもそも本質的にままならない生老病死にどのように向き合えば良いのか模索しています。

今回、西堀のお寺の様子を中心にということで執筆を依頼されましたが、新型コロナウイルスへの対応はお寺によって様々です。自坊では、消毒液や非接触式検知器の設置、行事の際のアクリル板の使用、お斎の代わりにお弁当をお持ち帰りいただくなど、できる範囲での感染症対策に努めています。昨年、県第1号の感染者のお葬儀の際には、さすがに院内に緊張が走りましたが、どうにか無事に勤まりました(新潟親鸞学会「親鸞NOW」31号参照 → 当ホームページ別記事にて抜粋させていただいております)。ご門徒さんのご理解を得られれば、ある程度、ご法事や行事は可能だと考えてます。

しかし、組としての活動となると、周知の範囲や当日の参加者数が読めず、リスクやコストを考慮した結果、2年続けて中止という苦渋の決断が続いています。他宗の方との交流の場になってきた寺町の花まつりも中止。こうした状況がいつまで続くのか、収束後に再開できるのか気がかりです。

一方で、御門首継承式のライブ配信など、これまでになかった形での教化活動が実現し始めています。ご門徒さんから、本山の報恩講を初めて見たという反応をいただき、いつか上山されるご縁になればと願っています。3月の墓地管理に関する学習会では、講師の先生は真宗会館からオンライン参加。スタッフの皆様のご尽力のおかげで、貴重なお話を拝聴しました。昨今、教区の改編が取り沙汰されてますが、教区の境を越えた学習の機会を今後も設けていただけるとありがたいです。

富沢 栄昌 氏(第21組 超願寺 副住職)


▲はじめは古町の様子をお聞きしようとしたのですが、新型ウイルス感染症患者の葬儀を勤められたというお話を聞き、法務に携わる身として気軽に町に出られない、より緊迫した状況が伝わってきました。以下事務局の雑感を連ねます。

※『親鸞NOW』は新潟親鸞学会機関紙のため、該当箇所を別記事で公開させていただいております。

▲新型ウイルス感染症葬儀で亡くなった新潟県内の方は5月31日現在で35名。県内ではじめに亡くなった方が超願寺様で葬儀をされ、また県外在住で家族を亡くされた方もいるということで、遺族の方々の悔しさは、計り知れないものがあることと存じます。今後、県内でも感染症で亡くなった方の葬儀を勤めることが増えてくることも十分あり得るように思います。

▲「葬式仏教」と揶揄される場合もありますが、このような緊急事態に、遺族と共に法事を勤めることの大切さがあらためて感じられます。また、法事の形の変化についても、大きな課題です。法要等が中止になる一方、本山・教区でのライブ配信・オンライン講義等も積極的に活用いただいているようです。

▲また、周辺の古町は県内一の歓楽街で、新型ウイルスの影響で、新潟市は飲食店の営業時間の短縮要請が4月21日から5月9日まで行われ、5時から21時までの営業時間の短縮と、酒類の提供は20時までに限られました。一定の効果があったということで、9日に県独自の新潟市への「特別警報」も同時に解除されました。しかし、周辺寺院の御住職等からも、御門徒に接する機会が多いため、以前の様に気軽に外で飲食できないが実際のところであるということも聞いています。

▲一方、長岡市の新型ウイルス患者の増加に伴い5月17日から5月31日まで時短要請が行われました。県内上場企業の決算の分析によると食品スーパーは売上高、各利益が過去最高、ホームセンター等も「巣ごもり需要」に加え記録的な大雪の影響もあり、需要が伸びて利益が高かったと「新潟日報」の記事にありました。一方で、飲食店については、継続的に被害を受け続けています。

▲新型ウイルスの影響の公的な統計データについては、総務省統計局の5年ごとの経済活動調査が本年6月に行われるということで、次第に明らかになるようです。

▲新型ウイルスの影響で混乱する中、昨年は『ファクトフルネス』がベストセラーになり、「思い込みを乗り超えデータを基に世界を正しく見る習慣の大切さ」が注目されてきましたが、刻々と状況が変わり、変化の度合いが著しい中、統計を待っていられないこともまた事実です。仮説と独断の差異を見極めることも難しく、勇気をもって足を踏み出すことと、無鉄砲の違いも見極めが困難です。

▲新型ウイルス特別編を昨年の4月から継続してきましたが、実際にそこに暮らす人々の言葉を聞いて、何が起こっているのか判断する一つの資料となればと思っています。


○次回の「三条別院に想う」は、

井上知法氏(第13組願性寺)より

ご執筆いただきます

 

【次回は特別編⑮長岡は今】

長岡市は本年のゴールデンウィーク明けに感染者数が過去最多を記録し、感染経路の分からない患者も増えてきたために、5月31日まで飲食店への時短要請が行われ、一定の効果があったために解除がされる予定です(5月31日現在)。今月号では新潟市の御寺院の様子をお聞きしましたので、次回は長岡市の様子をお聞きします。

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