三条別院|報恩講

2024年11月6日

2024シアターあとがき『時計のない村』

ご報告

ある先生が地獄道のことをこの様な世界と表して下さいました。それは「ごめんなさい」という言葉がない世界。

ん?と一瞬考えてしまうのですが、こう続いていきます。

「ごめんなさい」という言葉がないということは、互いに自己主張・自己固執しかなく、互いに他の存在を無視し、排除しあうことばかりしている世界です。結局それは弱肉強食という在り方になってしまうのですが、それは弱者はもちろんのこと、強者もまた孤独に陥るほかない地獄の世界であります。その世界は、結局自分しかいない世界であり闇の世界です。あくまでも自分を良しとしていて、自分の在り方など少しも見えていない、そのためにいよいよ闇を深くしている。

また、この様に教えて下さった先生もいらっしゃいます。

近代の人間観の特質、〈自らが自らを意識する〉という自らの中にまだ秘密が残っているといえる。つまりエゴという秘密である。自分を立て、それ以外のものを他とする自我の意識である。その他は自らのエゴ(都合の良さ)により、いつでも他は敵となり、排除するもの、殺してもよいものとなっていく。地獄道とは、傷つけ害し殺し合う世界であり、その最たる戦争こそまさに地獄である。他を害し、貪り、差別することは決して許されざる事と頭(知識)で解っているのが私たち、しかし私の闇を我が身として気づいていないのが私たちの本当のありさまであり、悲しみである。

今回の時計のない村に登場する村人は劇中の架空のものではなく、私たち自身の姿であるといただくご縁となることを願っております。